2002.07.25 ソングライン

 オーストラリアのアボリジナルたちは、ぼくたちの目には見えない道を辿って旅をするという。

 広いオーストラリアの大地には、大きなものはエアーズロックから、小さなものは砂漠の真中にある蟻塚まで、アボリジナルたちが旅の指標「ランドマーク」とするものがたくさんある。

 その個々のランドマークどうしを結ぶラインが彼らにとっての街道で、無数にあるその街道の一つ一つに固有の「歌」があり、その歌をイメージしながら進んでいけば、必ず目的地に辿り着くことが出来るのだという。それで、彼らの街道を「ソングライン」と呼ぶわけだ。

  歌詞の中に具体的な事物が織り込まれていると同時に、辿る大地に秘められた力の変化が歌のリズムに編みこまれている...そういったものだろうか。

  文字を持たなかったアボリジナルたちは、文字の代わりにイマジネーションに焼き付ける「歌」や「デザイン」を発達させていた。

  アイヌもアボリジナルと同じように、文字を持たず、歌で綴る叙事詩「カムイユカラ」や、自然の移ろいを現すムックリ、そして多彩でかつ独特なデザインなど、豊穣なイメージによって歴史や文化を伝えてきた。

  ソングラインについて知ったとき、もしかしたら、アイヌモシリにもソングラインのような、我々シャモには見えない「街道」が張り巡らされていて、独自の豊かな旅をしているのではないと想像した。

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