大湯ストーンサークルとクロマンタ 

 さて、いよいよ今回のキーポイント、大湯環状列石へと向かう。大日霊貴神社から昔の街道は、感情列石方向へ真っ直ぐ北上している。山間から花輪の市街地を抜け、あたりが開けると、そこが大湯。道は見晴らしのいい高原を貫いて真っ直ぐ伸びている。その左側に芝生の緑が清々しい広い公園があり、その中に再現された縄文の高床式の建物に囲まれてストーンサークルがある。こちらが万座遺跡。道を挟んで反対側には野中堂遺跡がある。大湯環状列石は、万座、野中堂二つの遺跡を中心に、さらにその周辺にある遺跡を合わせた総称だ。

 大規模な縄文遺跡といえば、青森の三内丸山が有名だが、この大湯もそれに負けない規模を誇っている。今でも発掘は続けられており、範囲はさらに広がっている。


万座ストーンサークルの中心部。高床の建物の間に見える三角錐が黒又山。この位置から見ると、黒又山の頂上が遠くに霞む山波の稜線に揃って見える。ちょうどその方向に新郷村の大石神ピラミッドがある。均整のとれた配置や高さ、方向を考え合わせると、黒又山の人工ピラミッド説が信憑性を帯びてくる。(photo (C)BMWBIKES =以下同

 野中堂はストーンサークルとともに、正確な方位を示す「日時計」がある。立石を中央に放射状に石が並べられ、正確に東西南北の方向を示す丸い石が四つ置かれている。その形は、ふつうに考えれば「日時計」に用いられたように見えるが、ぼくは、これを見た瞬間、積乱雲を想像した。

 真夏の午後の空に真っ直ぐ成層圏めがけて立ち上っていく入道雲。その入道雲に向かって、周囲の雨雲が引き寄せられ、筋を描きながら入道雲に合体して、それをさらに成長させていく。ふいに、そんな光景にオーバーラップして見えた。

 今でもきれいな形を残しているのは野中堂の日時計だけだが、同じような立石を中心に放射状に石が並べられた形のものはストーンサークルの中や周囲にたくさんある。それが「日時計」として用いられたのなら、同じものが大量に必要ではないだろう。例えば、それは、大地の中に眠る何かの力を吸い上げるポンプのようなものだったとしたどうだろう。砂漠に油井が立ち並ぶように、この大湯の地下に溜まった何かのエネルギーを盛んに吸い上げる石でできた装置が並んでいた....。

 ゲーテは、「花崗岩について」と題したエッセイの中で、花崗岩が地球の中心から力を吸い上げ、高く屹立した岩を通して、宇宙へ向かってそれを放出するイメージを語っている。宮沢賢治も、地球内部で創生された岩が大地の力を内に秘め、それが放出されて宇宙に繋がるイメージを語っている。大湯だけでなく、世界中に存在するストーンサークル、ストーンヘンジ、ドルメン、ピラミッドといった巨石遺構は、実際にそうした機能を持っていたのではないかと思わせる。それが、単体で機能しながら、一方で、相互に有機的な結びつきを持っていたとしたらどうだろう。

 大湯の周辺だけ見ても、ストーンサークルを中心にして、夏至、冬至されざれの日の出日の入りの方向に神社やランドマークが配されているという。さらに万座と野中堂の位置関係も、夏至の日に関係しているという報告もある。イギリスで行われた「ドラゴンプロジェクト」という調査では、夏至と冬至の日に、ストーンヘンジを朝日が照らしたとき、そのサークルの内側で電磁波や磁気の異常が見られたという。この大湯ストーンサークルも、一年の特定の日に活性化される何かのエネルギーを集約、増幅する装置なのかもしれない。

 万座遺跡の中心部から東の方向を見ると、そこには平原の中にポツンと佇むきれいな円錐形の山が見える。地元では古くから「クロマンタ」と呼ばれてきた黒又山。クロマンタの名の由来はアイヌ語だという説もあるが、由来、意味ともに不明だ。この山では、昔から奇妙な発光現象や飛行物体の目撃が報告されているという。

 この章の最初に掲げた写真は、万座ストーンサークルの外縁に立ち、その中心とクロマンタが真っ直ぐに並ぶ位置から撮影したものだが、背後に見える稜線との重なり方といい、シンメトリーな建物の配置といい、意図して作られているように見える。ここでさらに興味を引くのは、クロマンタの背後に見える稜線の先に、もうひとつのピラミッド、「大石神ピラミッド」がある。この位置で、GPSを使ってクロマンタと大石神ピラミッドの方向を計ってみると、ぴったり一致する。大湯ストーンサークル、クロマンタ、大石神ピラミッド、この三者を繋ぐものはいったい何だろう。

 ストーンサークルの中心部には、円錐形の石が据えられている。それもピラミッドとして考えれば、三つのピラミッドを結ぶ直線となる。しかも、今回は目視しかできなかったが、クロマンタと大石神ピラミッドに連なる稜線の高さが一致するということは、仰角でも並ぶ可能性がある。ストーンサークルの中心近くに寝そべり、三つのピラミッドの頂点が重なる仰角の先の空を見たとき、そこには、どんな星があるのだろう.....ふと、そんなことが気になった。

   

同じ場所からクロマンタと大石神ピラミッドの方向を測定してみると、GPSの矢印は、同じ方向を指した。クロマンタまでは2.05km、大石神ピラミッドまでは30.3km。厳密に見ると20秒ほどのズレがあるが、後に訪ねた大石神ピラミッドの南西にある上大石神ピラミッドの位置に置きかえると、そのズレは10分の一以下になる

 

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